テレワーク・リモートワークをやってみたい。そもそもテレワークにはどんなやり方があるんだろう。何か課題があるのかも気になる。テレワーク・リモートワークの課題を把握して対策も知っておきたい。そのようにお考えの方へ。
この記事では私自身のテレワーク・リモートワークの経験をもとに、テレワーク・リモートワークの課題と対策について解説します。
テレワーク・リモートワークの種類
テレワークやリモートワーク、在宅勤務といった言葉がいろいろあって、課題も少し違ってくるため、初めにこれらの言葉の整理をしておきます。
テレワーク・リモートワークの意味
テレワークのテレ(tele)は遠いということを表す接頭辞で、リモートは英語のRemote(遠隔)なのでテレワークとリモートワークという二つの言葉は同じ意味です。場合によってこれらの言葉が区別されている場合もあるかもしれませんが、実際的に区別する意味はそれほどないのではと個人的には感じます。
日本では厚生労働省がテレワークの方を使っているからか、テレワークの方が言葉としてはよく用いられているように感じます。
テレワーク・リモートワークが意味するのはある程度以上の距離が存在する状態で働くことです。ですので、これらの言葉自体にはオフィスの外といったような意味はありません。ただ、実際にはオフィスに他の人が一定程度集まっていることが前提になっているので「人がいるオフィスから離れて」ということで、オフィスの外で働くことを指すことが多いと思います。
テレワーク・リモートワークと在宅勤務
テレワークやリモートワークとよく一緒に語られる言葉として在宅勤務があります。こちらは、その名の通り家で働くことを意味します。家で働く場合もオフィスからは一定程度以上の距離感があるので、在宅勤務はテレワークやリモートワーク に含まれるものです。
在宅勤務以外のテレワーク・リモートワーク
在宅勤務以外でも距離がある状態で働くことがテレワーク・リモートワークです。家で働くのが在宅勤務ですが、それ以外にはどのような勤務形態があるかを整理します。
サテライト勤務
テレワーク・リモートワークの一つの種類が、サテライトオフィスで働くことです。ただ不思議なことにサテライトワーキングという言葉はないようですが、サテライト勤務という言葉はあります。
サテライトとは衛星のことです。衛星はある星の周りを軌道として回っている星のことであり、サテライトオフィスは本体となるオフィスの周りに存在する出張所的な位置付けのオフィスです。実際には例えば会社が持っている本社や支社を本拠点と捉え、その周りに自社でビルを買ってたり借りてたりして、そこをサテライトオフィスとして社員が勤務できるようにしています。
近年では貸しオフィスの所有と運営を主な事業とする会社もいくつかあり、このような会社と契約することでその会社が運営しているいろんなオフィスを社員が使えるようになるという形式もよくみられます。
私の場合も勤務していた会社が貸しオフィス運営会社と契約していたためそのような形態でサテライトオフィスの利用が可能な状態でした。
カフェなどの電源が使えるお店で仕事
テレワーク・リモートワークは仕事をするための道具があればどこでもできます。テレワークやリモートワークでする仕事の種類がデスクワークが多いと考えると、その道具とはノートや鉛筆、そしてパソコンやケータイではないでしょうか。
パソコンやケータイを使うには電気が必要なので、できれば充電ができるお店だと仕事がしやすいです。私が実際にこれらの場所で仕事をするときにはやはり電源がある場所を探して渡り歩いたりします。
最近では電源があるお店をまとめている「電源カフェ」というサイトもあるのでそちらも参考になります。
参考:DENGEN Cafe
お店はやはり人の目が気になるので、自分以外から画面が覗き込みにくくなるプライバシーフィルターを活用するなど配慮が必要です。プライバシーフィルターはお店などで仕事する際は必須と言えます。ただし、プライバシーフィルターを使ったとしても全く知らない人の目に画面が触れる可能性があるので、お店の中でやる仕事は内容を選ぶべきだと思います。
Outdoorで仕事
他にもテレワーク・リモートワークのやり方として、Outdoorで仕事するというのがあります。先ほどはお店の中で仕事する方式を紹介しましたがこちらは屋外で仕事するということです。ノートパソコンやスマートフォンがあれば公園などの屋外でも仕事はできます。
私は実際に屋外で仕事をすることもあります。そんなとき必要になるのはできれば容量が大きめのモバイルバッテリと電源が長く持つノートパソコンやスマートフォンです。そして先ほども書いたプライバシーフィルターも必要です。
私が実践してきたテレワーク・リモートワークの実体験
私が実際に行っているテレワーク・リモートワークの内容について、私自身が感じているメリットやデメリットにも触れながら紹介します。
なお、テレワーク・リモートワーク全般に関わるメリット・デメリットやツールについては以下2つの記事にまとめていますので参考にしてみてください。
リモートワークのメリットとデメリットにてついて実体験に基づいて解説します。リモートワークは「働き方改革」の本命施策ですがなかなか進まないには理由があります。
テレワークのやり方と円滑なテレワーク実践のために必要なツール等について実体験も踏まえて解説しています。テレワークを活用してより効率的に仕事をしたい方、生活全体を充実させてい方は是非ご覧ください。
在宅勤務とそれ以外の組み合わせを実践
仕事の効率をある程度担保するため、主に在宅勤務でその他の用事や気分転換などのためにそれ以外の場所でテレワーク・リモートワーク、そしてオフィスワークを組み合わせて仕事しています。サテライトオフィスも存在はしているのですが、ほぼ使っていません。
この組み合わせの比率はそのときの仕事のフェーズや内容、そして私の私生活やその他の仕事等とのバランスなどそのときの状況に応じて変えています。
例えば、そのときの仕事で関わるオフィスにいるメンバーが対面でのコミュニケーションを好む人である場合は調整がつく限りオフィスにいる時間を長くしたりすることもありますし、子供の行事が忙しくパートナーのサポートをする必要性が大きい時はアウトドアやお店などで働く比率を増やします。
仕事の効率(生産性)は大切にする
テレワーク・リモートワークを実践する上でこそ、仕事の効率や生産性は大事に考えています。そのように言える理由は主に2つあります。
理由1:実は生産性を高めやすい
一つ目の理由は、テレワーク・リモートワークという働き方自体が生産性を高めることと相性が良いことです。わかりやすいのは通勤時間の節約です。仕事の進み具合や内容によっては、作業や物づくりが中心となるフェーズがあるでしょう。そのときに、通勤する時間はかなりもったいないと思います。通勤が片道で仮にDoor To Doorで1時間だとしても、往復2時間+移動前後の準備時間等で+30分くらい取られてしまうこともあり、その場合で単純に2時間半の作業時間が消えます。テレワーク・リモートワークではこのような時間の無駄を防ぐことができます。また、テレワーク・リモートワークでは、仕事の途中で体を動かしてリフレッシュするということもやりやすいので脳の血流をよくして単位時間あたりのアウトプット品質や量をあげることもできます。
理由2:メンバーとのコミュニケーション課題でも生産性は大切
もう一つの理由は、他のメンバーとのコミュニケーションに関わるものです。テレワーク・リモートワークでオフィスから離れて働いていると、実際にあって顔を見ているわけではないため何をやっているのかが分からない状態になりがちです。そのため、仕事をすることの意味を問う必要が出てきます。h仕事をするのは何かの成果を出すためなので、成果を出す量や質にこだわりを持つべきです。仕事は、オフィスに何時間滞在していたかを競うゲームではありません。
成果として求められるものを可能な限り可視化し、その成果の実現に向けて働くのが仕事です。オフィスから離れて働いていたとしても、定めた目標に対しての中間成果物が一定期間内にあがってくることが確認できればメンバーとのコミュニケーションは滞りなく進めることもできるはずです。
テレワーク・リモートワーク全般の課題
初めに、テレワーク・リモートワークの特性による、共通的な課題のうち特に実際に取り組んだ場合に課題となるものについて解説します。
コミットが低い場合の生産性
テレワーク・リモートワークは仕事をする場所や時間の使い方の自由度が高いゆえに、生産的な仕事をするためには仕事の結果へのコミットが不可欠です。
仕事の結果へのコミットがない場合、テレワークで得られる自由を濫用し仕事以外の活動とのバランスを崩します。その結果、仕事の生産性が著しく低下することになってしまいます。これが、テレワーク・リモートワーク の最大の課題であると考えます。
この課題への対策としては、働き手一人一人の仕事へのコミットメントやエンゲージメントを高める以外にはありません。働き手一人一人のエンゲージメントをどのように向上させるかについてはワークライフバランスの向上などもありますが、なんといっても会社のビジョンへの共感が一番大事なようです。
同僚とのコミュニケーション
テレワーク・リモートワークではオフィスにいるメンバーとは離れて働くため、ノンバーバルコミュニケーションが難しくなります。ノンバーバルとは言葉以外のという意味であり、例えば相手のちょっとした雰囲気や表情を感じ取るといったコミュニケーションです。
上記2つん課題については以下の記事にも書いていますので参考にしてみてください。
リモートワークのメリットとデメリットにてついて実体験に基づいて解説します。リモートワークは「働き方改革」の本命施策ですがなかなか進まないには理由があります。
在宅勤務の課題と対策
ここでは在宅勤務について課題と対策を解説します。
仕事スペースの確保
在宅勤務の課題の一つ目は仕事をするスペースの確保です。家の中で仕事をするときにはできるだけ生産性を高めやすく疲れにくい環境で仕事をしたいので、そのための場所を確保することが重要になってきます。
仕事をするときの要素をいくつかに分けると準備が必要な場所の条件が見えてきます。仕事の要素を行動ベースで考えると大きくは以下に分けられます。
- 考えること
- 調査
- 文書作成作業
- コミュニケーション
上記それぞれは生産的に実施するための条件がそれぞれ異なり、そのため家の中で準備すべき環境も異なります。さらに、これら作業を生産的に行うのに実際にどんな環境が最適であるかは人によって違うこともあるでしょう。
ここでは詳しくは説明しませんが、例えば「考えること」であればある程度人から邪魔をされずに静かにじっくりと考えることや体を動かしながら思いを馳せることなど考えることだけでもやり方はいろいろです。テレワーク・リモートワーク全体で考えればそれらを柔軟に組み合わせられることがメリットですが、家の中でということに特化して言えば、「静かに考えること」をできたほうがいいでしょう。
私が実際に在宅勤務で用意している環境
以上のような事情を踏まえて私が実際に在宅勤務をするために、家の中で整えている環境を紹介します。
我が家ではいわば書斎のような部屋を一つ用意しています。そこに大型のデスクと快適に作業ができる椅子、そして40型超のテレビを置いてそれをモニタとして使っています。椅子は自分自身の体格に合ったものをこだわって選んでいます。また通信環境については光ケーブルを家にひいています。
上記のような環境を用意しているため、オフィスにいるときより遥かに快適に作業や考え事をすることができるようになっています。
同居者との折り合い
在宅勤務に特有の課題として忘れてはいけないのが家族などの同居者との折り合いをつけることです。
具体的には、リモート会議(通称テレカン)のときはできるだけ静かになるように配慮してもらったりといった事前調整や、自分の仕事の状況を家族にもシェアし私の家事の分担を増やしすぎない等の協力をお願いしたりすることなどが必要です。仕事の具体的な内容はシェアする必要はなくても、今どれくらい大変なのかとかその理由は何なのかというざっくりとした説明をしたほうが家族に協力してもらいやすくなります。
情報セキュリティ
在宅で仕事をする場合、専用の部屋やスペースがあったり全く知らない人がいる状況とは異なるので、後ほど紹介するお店やアウトドアなどで仕事をする場合と比べると安心な面もあるかもしれませんが、それでも情報セキュリティに気を配る必要があります。
具体的には、家族等であっても機密情報は漏らさないようにすることや、もし業務情報が記載された書類がある場合は絶対になくならないように引き出しで管理するなど、情報の取り扱いには十分に気をつけましょう。
同僚への状況説明など
こちらは在宅勤務に特有というわけではないかもしれませんが、特にリモート会議の時など、状況などに応じて必要であれば同僚に説明したほうがいいかなと思われる場面があります。例えば、仕事用の部屋は締め切っていたとしても子供の声がどうしても聞こえてしまう場合や周囲の工事の音が入ってしまう場合などには、私の場合はちょっと一言だけそのことについて説明したりすることがあります。
ただしこれはあくまで、会議をするのに妨げにならない程度の音が入ってしまう場合などを想定しています。会議ができないほど周囲の音が大きい状況は作り出すべきでないでしょう。会議でなくWebnarへの参加のため自分自身がほとんど発言しないと言う場合であればマイクのミュートを徹底しておけば、自分さえ問題なければ周りでどんな音がなっていてもいいと思います。
お店やOutdoorで仕事する場合の課題と対策
カフェや飲食店、さらにはOutDoorでで仕事をする場合特有の課題をここで解説します。カフェなどのお店で仕事をする場合もアウトドアの場合も、ほぼ同じような課題があると考えたため、一緒に解説しています。
情報セキュリティ
カフェなどで仕事をする場合、店内にいる他の人との距離が近くしかも長い時間同じ場所にいるケースもあるので他の人から業務についての情報を意図せず見られてしまったりすることを防ぐために細心の注意が必要です。この対策としては覗き見防止が可能なプライバシーフィルターが有効です。
また、ノートパソコンそのものを盗まれてしまうと情報の保存の仕方によっては大量の業務情報の流出といったセキュリティ事故に直結します。この対策としてはそもそも企業側が社員の端末そのものには情報を保存しないことを徹底すること、そして社員個人はノートパソコン等から目を離さずにトイレに行く時も持ち運ぶ、そもそも人に見られて困る情報は画面に表示しないといった工夫が有効です。
電源の確保
この記事の別の箇所でもすでに書きましたが、在宅勤務以外でテレワーク・リモートワークをする場合は、仕事で使うパソコン等の電源の確保も課題になります。様々な事情で、家ではなく外出先でたくさん仕事をすることになる場合、高機能なモバイルバッテリーを用意しておくと安心です。なお、スマートフォンの充電用には、高機能の持ち運び型ソーラー電池も有効です。パソコンの充電は難しくてもスマートフォンの充電は可能です。
私は実際に、天気の良い日に太陽電池を自転車に乗せて、ケーブルをスマートフォンとつないで、移動しながら充電していたこともあります。
自転車に太陽電池を積んでスマホを充電
テレワーク・リモートワークのその他の課題
ここではテレワーク・リモートワークでのその他の細かな課題について解説します。
勤怠の記録・管理
勤務時間をどのようにつけるのかという課題が出ることがあります。元々オフィス勤務の人で特に管理者側にいる人の目線では従業員の勤怠時間をどのように管理するか、という課題だったりします。この視点では、「オフィスにいるなら何をしてるか見えるから働いてるかどうかわかるけど、遠くにいたら何をやってるかわからない」という発送がされています。
ただ、よく考えると実はこの課題はかなり根深い問題であり、しかもテレワークテレワーク・リモートワーク に限った問題ではありません。実は、例えオフィスにいたとしても、本当に仕事をしているのかどうかなど簡単にはわからないからです。言ってしまえば、脳波の測定技術が今よりかなり進歩して、人が考えている内容が全て脳波から計測できる、というくらいの状況にならないと、本当に仕事をしているのかどうかなど測定のしようがありません。オフィスにいるから仕事をしているというのは残念ながら全くの幻想です。
福利厚生や通勤交通費の課題
会社では様々な福利厚生が提供されています。例えば会社によってはフリーランチやフリードリンクといったものがついてくることもあります。これらのものがオフィスの中やごく近くの店舗でのみ提供されている場合、テレワーク・リモートワークではこれらの福利厚生を享受することができなくなります。
また、通勤交通費については、毎日家からオフィスまでの通勤交通費の定期購入料金分が支給されているとします。テレワークやリモートワークが可能ならこの交通費は実際には掛からないので、これをどうするのかといった課題が生じます。多くの会社の場合はこの事情は考慮せずに通勤定期代については従来通り支払う場合が多いと思います。
まとめ
この記事では、テレワーク・リモートワークの種類や課題と対策について、私の実体験も交えながら解説しました。
私が実際にやってみた感想として、今回紹介した様々な形のテレワーク・リモートワークを組み合わせて実践することは一つの仕事以外の活動や人間関係とのバランスを取る上で働き手一人一人にとって大きなメリットがあります。
様々な課題はありますが、ミッションオリエンテッドな組織・仕事をみんなで協力して設計し運用する体制を作ることでテレワークやリモートワークの大きな課題は解消できる結果、仕事や組織へのエンゲージメントがさらに高まりさらに効率よく仕事ができるという好循環を生むことができるのではないでしょうか。