コンサルティング業界への転職の志望動機【面接官のチェックポイント】

コンサルティング業界への転職面接で動機を聞かれるけど、なんて答えればいいのかな。具体的にはどんなことを聞かれるんだろう。実際に転職した経験のある人の回答例を知りたい。

この記事ではそんな人に向けて、事業会社からコンサルティング会社、そしてコンサルティング会社から ITベンチャーに転職経験がある筆者が、コンサルティング業界での転職面接で求められる志望動機の考え方や面接で答えるときのポイントなどについて自分自身の経験も交えてお伝えします。


コンサルファームの面接官が確認したいのは活躍可能性

ここでは、コンサルティング業界への転職面接で面接官が確認しているポイントについてお伝えしていきます。

面接はコンサルティング現場をよく知る現役のコンサルタントが担当する 

コンサルティング会社のビジネスであるコンサルティングでは、人がすべてであり従業員一人一人の質がとても重要です。

クライアントの担当者やその上位者、経営層と信頼関係を築き一定期間でクライアントのビジネスの改善や推進に寄与するアウトプットを出す。そのような難しいことを担うのは、各プロジェクトにアサインされたコンサルタント一人ひとりです。

面接はコンサルタントとして適性があるか、実際のコンサルティングの現場で活躍してくれそうかを見極めることが目的となるため、コンサルティング業務のことをよく知る現場のコンサルタントがコンサルティングに必要な能力や資質が候補者に備わっているかどうか、活躍の可能性があるかを面接で確認することになります。

このことから、コンサルティング業界への転職面接では実際のコンサルティング業務で活躍する様子を面接官がイメージできるように意識することが大切で会うと言えます。

コンサル面接官は候補者の基礎能力を確認する

現役コンサルタントである面接官は、コンサルティング業務で実際に活躍できるかどうかを面接で確認するために、具体的にどのようなポイントを見ているのでしょうか。コンサルティング会社にもいろんな会社がありますが、求められる能力としては実は共通のものがあります

その能力が何かと言うと論理的思考力、コミュニケーション能力、リーダーシップなどです。これらの能力は事業会社でも求められる能力と言えますが、一定期間に成果を出さなければいけないコンサルティングの業務ではこれらの基礎能力の水準がクリティカルな要素になるため面接官はこれらの能力について必ず確認します。

前職での実績ももちろん大切ですが、それ以前にコンサルティング業務を行う上で大切な基礎的な能力が実際にコンサルティング業務を行う際に必要不可欠となることを面接官も日々実感しているため、これらの基礎能力は必ず確認されます。
たとえ前職で実績を出している候補者であったとしてもコンサルティング業務を行う上での基礎能力が欠如している場合、コンサルティング業界への転職後に活躍できる幅が大きく制限されるため面接の早い段階でこれらの能力を確認しておきたいというのがコンサルティング会社側の本音です。 

以上のことから、コンサル転職の面接では、論理的思考力やコミュニケーション能力があることが面接官に伝わるように話すことを常に心がけましょう。

困難を創意工夫で乗り越えた経験が活躍をイメージさせる 

論理的思考能力やコミュニケーション能力などの基礎能力とともに面接官に活躍をイメージしてもらうために同時に大切に語りたいのが、候補者であるあなたの実際の業務での経験です。後ほど詳細に説明しますが、コンサルティングにはストーリーが不可欠であり、ストーリーにはその構成要素となる確かな事実が不可欠です。

そのような確かな事実として面接で語ることをオススメしたいのが、困難を創意工夫によって乗り越えた経験です。
このような経験はコンサルティング会社への転職に限らず就職や転職の面接ではいつも求められるのではありますが、コンサルティング会社に転職では特に重要となります。コンサルティング業務ではあらかじめ定められた一定の期間の間に成果を出すことが求められ、膨大な情報の整理やクライアントとの人間関係の構築、またクライアントの各部署間の利害関係の調整など難しい課題に挑戦する場面が多くあるため、難しい課題を創意工夫によって乗り越える具体的なイメージを方法論をあなたが持っていることが、コンサルタントとして活躍する際の強みとなるためです。 

以上のことから、難しい局面を創意工夫によって乗り越えた実経験が、面接官にとって候補者のコンサルティング業務での活躍をイメージできることにつながると言えるのです。


コンサルとして活躍しそうなストーリーで経験と志望動機で面接に臨む

ここではコンサルティング業界への転職面接で面接官に伝えるべき志望動機の考え方やポイントについて概要をお伝えします。

コンサルティング業務では説得力のあるストーリーでクライアントを動かす

あなたが無事に面接を突破しコンサルティングプロジェクトにアサインされた場合 、プロジェクトの種類は様々あるものの、コンサルタントであるあなたの仕事は良質なアドバイスによってクライアントが進むべき方向やなすべき施策の実施をサポートすることです。

良質なアドバイスとは一体どのようなものでしょうか。それは一言で言ってしまえばビジョンがあり説得力を伴ったストーリーです。
プロジェクト終了後、もちろん表面上はプロジェクトが完了し報酬が支払われることが大半ですが、クライアントに対して行なったアドバイスの内容がビジョンや説得力のないものである場合、その後実際にクライアントがアドバイスをインプットとして動いてくれることはないでしょう。

私が実際に自分自身の経験として他のコンサルタントからそうなってしまった例を聞くこともしばしばありました。
そのようなことにならないよう、説得力を持ったストーリーを語る力を持っていることがコンサルタントとしては大切です。

説得力あるストーリーを描き語るためのポイント

説得力のあるストーリーを描くにはどのようなポイントがあるのか説明します。

ポイント1:論理整合性

一つ目のポイントは論理整合性です。どんなストーリーでもそうですがその中で語られる一つ一つの要素には繋がりが必要です。一つ一つの要素間で因果関係や相関関係があり、 それらの関係性の総体がストーリーを構成するようにします。

面接では自分がアピールしたいことに心を奪われ、話している一つ一つの事柄や経験同士の関係性についてよく整理されないまま話してしまうことがあります。そのような場合、たまたまそれぞれの要素が話として繋がる場合はいいのですが、場合によっては話が全くつながらなかったり、矛盾を含んでしまうこともあります。そうなってしまうと 、聞き手の心の中にわだかまりが発生し、ストーリーの説得力が損なわれることになります。

そうならないよう、これまでの経験内容と位置づけを十分に整理し、面接官に全体の論理構成や要素間のつながりが伝わりやすいよう工夫しましょう。

参考)演繹・帰納・三段論法

ポイント2:共感

二つ目のポイントは共感です。人間は感情の生き物であると言われています。いかに論理的に整理されたストーリーであってもその内容が共感を生むものでなければ説得力は大きく損なわれてしまいます。そのため論理性に加えて、自分がそれまでの経験の中で苦労した内容などから、面接官と共有できそうな感情や経験を意識しながらストーリーを語るようにしましょう。

参考)共感を生むストーリーとは

ポイント3:事実の位置づけ

もう一つ、説得力のあるストーリーを描くための重要ポイントがあります。それは、論理と共感を支えるためのものとして事実を位置づけるということです。
どんな論理も事実があってこそです。
もしあなたがよく整理された論理でストーリーを展開したとしても、その論理があなた自身が実際に経験した事実に基づくものでなければ説得力は小さくなります。もちろん本で読んだことや他の人から聞いたことからも論理を導くことはできますが、出来る限り自分自身が実際に経験した内容をもとに論理を組み立てストーリーを描きましょう。
あなた自身の感情を伴ったリアルな体験によって初めて共感を呼ぶことができるため、あなたが実際に経験したことこそ説得力あるストーリーに不可欠の要素です。

コンサル転職の面接で伝えるべき志望動機とは

ここでは、これまでの章でお伝えした内容も踏まえて、コンサルティング業界への転職面接の際に伝えるべき志望動機の内容とポイントについてもう少し具体的にお伝えします。

志望動機は「コンサルティングへの情熱」+「自分が提供できる価値」

志望動機として語るべきものの一つ目はその仕事への自分自身の思いや情熱です。その仕事への強い思いがあれば多少困難なことがあってもそれを乗り越えることができる力につながるからです。 

コンサルティング業界といっても実際には様々な領域が存在します。企業全体の戦略や事業戦略、 IT戦略、新規事業創出、コーポレートガバナンス、業務改善やコスト削減、 社内カルチャーの改革、人事制度の改革など色々なものがあります。
今回実際に転職を検討されている該当コンサルティング領域についてどのような情熱があるのか、なぜその仕事を重要だと考えるのか、また同様のサービスを提供する複数ある会社の中でなぜその会社に応募しているのかなど、その仕事そしてその会社で該当領域のコンサルティングに取り組む強い思いを語ることが大切です。

語るべき内容の二つ目はあなた自身が入社後どのようにクライアントや社会、またその会社に価値を提供できるのかという点です。
コンサルティングのプロジェクトでは、プロジェクトにアサインされるメンバーは1時間あたり高い単価で仕事を任されることになります。そのような事情もあり、プロジェクトによるアウトプットにはクライアントから厳しい目が向けられます。
プロジェクト中という限られた期間内で厳しい目にも耐えうる価値を生みクライアントのビジネスに貢献する価値を提供するため、自分自身のこれまでの経験や能力をもとに、コンサルタントとしてどのような貢献をして行けるのか。このポイントを語ることが非常に重要となります。

社会・業界・企業を分析し、自分が何にどう貢献したいのかを語る

他にもコンサル業界への転職面接の時にポイントとして抑えておきたいことがあります。それは自分なりの視点で社会全体や対象の産業・業界、そして面接時点で話題となっている企業や対象業界のメインプレイヤーとなる企業を分析し自分なりの視点でコンサルティング業務を通して自分が誰にどのように貢献をするのかを語ることです。

コンサルティング業務ではお客様となるクライアントからは業界の状況やその会社の置かれている状況や課題などを詳細に説明してくれることはありません。しかしコンサルティング業務を通して貢献するためにはそれらの情報は必須となるため、プロジェクトが始まる前に頭に入れておくべき内容となります。
担当のプロジェクトマネジャーが丁寧な人であればその辺りの事を説明してくれる場合もあるかもしれませんが、基本的なスタンスとしては自分自身でそれらの情報調査し整理する習慣をつける必があります。
また、プロジェクトを実施する中で時間も経過していきます。その時間の経過に応じて状況も刻一刻と変わっていくことでしょう。その状況の変化がプロジェクトにどのような影響を与えるのかを特定するためにも常に社会業界企業を分析し、自分自身のアクションにつなげる習慣は欠かせません

以上のような事情から、実際にコンサルティング業務に従事する前の段階である面接時から、社会や業界会社を自分自身で分析しその結果として出てきた仮説を人にぶつけるようにしましょう。面接官に対して、あなたの分析力や業界に対する見解、またそれを伝えるためのコミュニケーション能力などを伝える良いきっかけになります。 

志望動機を支える事実として経験や自分自身の強みを伝える

はじめにお伝えした通り面接官の興味は目の前の候補者であるあなたが実際のコンサルティング業務に従事した際に活躍してくれそうなのかどうかというポイントです。

候補者であるあなたは、面接官がコンサルティング業務の現場で活躍するあなたをイメージしやすいよう、論理的で共感を生むようなストーリーを伝えることが必要。そのことをこれまでにお伝えしてきました。

またこれも先ほどお伝えした通り、説得力のあるストーリーには事実が必要です。コンサルティング業界への転職面接での

志望動機を支える事実とは

志望動機を語る上で必要な事実を大きく分けると、以下の2つです。

  • あなたの経験
  • ご自身の強み
経験

困難を創意工夫によって乗り越えた経験を語ることが必要である点は既にお伝えしました。
志望動機を裏付けるための材料として語ることをお勧めしたいのは、あなたが創意工夫によって困難を乗り越える中で、コンサルティング業務で実際に行うようなプロジェクトの必要性を感じたという点です。

事業会社からコンサルティング会社に転職する方でよくあるケースとしては、事業会社で行われたプロジェクトにおいてクライアントとしてコンサルタントの仕事ぶりを目にし、その仕事について非常に意義あるものと感じたというケースがあります。必ずしもコンサルタントの能力が優れているということでなくとも、コンサルティング会社やコンサルタントが一般的に持つ機能に由来して コンサルティングという業務の意義を感じるケースもあるでしょう。例えば社員だけでプロジェクトを進める場合様々な人間的しがらみがあるためなかなか前に進められなかったのだが、外部者であるコンサルタントが入ることによって本来なすべきことや言うべきこと中立的な立場で推進または発言することができる、といったようなことです。

強み

次にご自身の強みについてお話しします。
コンサルティング業務において、論理的思考能力、行動力、リーダーシップ、コミュニケーション能力といった能力が高い水準で求められることは既にお話ししました。そのためこれらの能力が自分自身に備わっていて、それを活用していろんな企業に貢献したいということができれば志望動機を支える根拠となります。

それではこれらの能力があるということを事実として示すにはどのようにすれば良いでしょうか。
まず、面接中の言動が最新の現場における候補者の能力を指し示す有力な事実です。これまでにお伝えしたようなストーリーを論理的に構成することや社会・業界・企業の分析結果を示すこと。これらを通して面接を受けているまさに今の時点での論理的思考能力やコミュニケーション能力を面接官に示すことができるでしょう。

ところが面接の中では確認が難しい能力もあります。行動力やリーダーシップといった能力です。また念のために補足をすると論理的思考能力やコミュニケーション能力についてもその場で確認をできるのはあくまでその場での応対で発揮されるそれらの能力であり、より長期的にプロジェクトの中で論理的思考ができるかいやクライアントと良好な関係が築けるのか、といった点までは面接で確認することはできません。

以上のことから、面接で語るべきご自身の強みとして、困難を乗り越えた経験を分析した結果、強みとして発揮しているという結論が得られた能力についてアピールすることをお勧めします。
はじめに面接官に自分が発揮したと思われる強みについて語り、面接官からの質問を受け、受けた質問に対して事実ベースの的確な答えを返して行く。そのようなやり取りを積み重ねることでコンサルティング業界への転職面接を突破することにつながります。

まとめ

今回の記事の内容は以上となります。いかがでしたでしょうか。

この記事では 「コンサルティング業界への転職時に必要な志望動機の考え方とポイント」と題し、 面接官が確認したい観点や、 志望動機を考える際の工夫点などについてお伝えしました。

コンサルティング業界に転職されようとする皆様がこの記事を参考にされ、 面接を突破されコンサルタントとしてご活躍されることをお祈りします。