転職を職場の人や家族に相談したら「転職は逃げ」だと言われて転職をしてもいいのか悩んでいる方へ。
この記事では転職が逃げだという中身について詳しく検討し転職が逃げや甘えでもいい理由について解説します。
逃げるとはどういうことか
「転職は逃げ」の検証のはじめのステップとして逃げるとはどういうことかを確認します。
1 捕まらないように、追って来るものの力の及ばない所に身を置く。「犯人は盗難車で―・げたらしい」「一目散に―・げる」
出所:コトバンク
2 自由のきかない所や危険から抜け出して、去る。「ライオンが檻(おり)から―・げる」「命からがら―・げる」
3 面倒なこと、いやなことから積極的に遠ざかろうとする。直面するのを回避する。「やっかいな仕事から―・げる」「―・げないで真っ向から勝負する」
4 運動競技で、首位を行く者が、後続する者に追いつかれないで勝つ。「先行したままゴールまで―・げる」
5 からだが望ましい構えから後方へ引いた状態になる。ひける。「腰が―・げている」
6 室内・容器の中の気体や味などが、そのまま保たれないで外へ出てしまう。「熱が―・げる」「土鍋はさめにくい上に風味も―・げない」
上記の定義の中で、転職について言われる「逃げ」は、例文からもわかるように3の「面倒なこと、いやなことから積極的に遠ざかろうとする。直面するのを回避する。」の意味だと思います。直接的には3かもしれないものの、1や2の意味も近いのかもしれません。これら1から3の意味に共通しているのは、自分にとって嫌だったり脅威となるなものやことから積極的に遠ざかるという行動です。
転職における「逃げ」はどういうことか
さきほどは逃げるということの一般的な意味を確認しました。ここでは転職における「逃げ」とはどういうことなのかを深堀りします。
先程確認したように、逃げるという言葉は追手から逃げる、檻から逃げる、のように、何かから逃げる、という使われ方をします。そして逃げることが「遠ざかる」ことだと確認できたので、「転職が逃げ」という場合について何から遠ざかることなのかを確認することで「転職は逃げ」の具体的な内容について検証していきます。
実は転職という行動によって積極的に遠ざかろうとしているものには複数のものがあります。次からいくつか挙げて解説します。
仕事そのものから遠ざかる
まずは仕事そのものから遠ざかろうとしている場合です。転職は逃げという場合に真っ先に頭に浮かびそうなのが「仕事からの逃げ」ですが、それではちょっと大雑把すぎます。個々で書いているのは「仕事そのもの」から遠ざかろうとしている場合です。どこが違うかというと、「仕事から」の場合は現状の仕事に含まれる色んな要素をひっくるめてしまっていますが、「仕事そのもの」の場合は、今の仕事内容や会社の事業内容、職種や日々のアクティビティの内容から遠ざかろうとしてるのがこちらのケースだという点が異なります。
新たな分野に会社で挑戦してみたい
働き手が仕事をする中で関連したり隣接したりしている他の分野で働いてみたい・挑戦してみたいという場合、おそらく今現在の仕事内容よりも新たな分野への関心や思いが強くなっているので、今の仕事内容からは距離を取り遠ざかろうとするかもしれません。
立ち止まってゆっくり考えたい
他に考えられるケースとして一度立ち止まってゆっくり今の状態やこれからのことを考えたいケースもあります。ギリシャのデルフォイ神殿に刻まれた格言「汝自分自身を知れ(γνῶθι σεαυτόν ( グノーティ・セアウトン )、英語:Know thyself)にもあるように自分自身を知ることは大切です。自分自身を知るにはゆっくりと自分自身の活動や考えていることを整理する時間が不可欠です。忙しい日々の中でも自分自身をゆっくり振り返ることができる人はいいのですがそうでない人は時間をとるために仕事そのものから一度遠ざかりたいと考えるのではないでしょうか。
上司や同僚から遠ざかる
次に、遠ざかりたいものの2つ目として、仕事で関わっている上司や同僚から遠ざかりたいというケースを考えます。
なんらかの原因により今働いている仕事の同僚や上司から遠ざかりたいケースがあると思います。多いのはパワハラ・セクハラ・モラハラなどの各種のハラスメントと、どうしても相性ああわないなどのケースです。もし遠ざかりたい対象の人が特定の人物であり、しかも制度がしっかりした大企業なら人事異動によって特定の人から離れればいいのですが、そうではない場合はこの理由によって転職を考えることになるでしょう。
人を方向づける組織のカルチャーや制度
遠ざかりたい対象の人が特定の人物でないケースの具体例を一つ紹介します。
私達個人一人ひとりはそれぞれ別々の人格であり性格も行動も異なります。しかしながら、会社などのある組織では一定程度似通った行動・思考のパターンが見られそれがその組織独特のカルチャーや制度と密接につながっていることは決して珍しいことではありません。会社が「法人」としてまるで人格があるかのように扱われ罰せられたりするのもこういったことが背景にあるものと考えられます。
ある個人にとって、組織のカルチャーや考え方、制度が合わないと感じるとき、その組織にいる人たち複数と相性が合いにくくなることは十分に考えられます。
人生の優先度に対する生活の乱れから遠ざかる
次に紹介するのは、人生の優先度に対する生活の乱れから遠ざかりたいというケースです。要は人生で優先したいことが仕事で乱れてしまっているという状態を変えたいという場合のことです。
私達一人ひとりはみんな別の人間なので、人生における優先事項も一人ひとり違います。その優先事項が乱れるとだんだんと自分自身の中でいろんなバランスが保てなくなり心身の状態が悪くなることが考えられます。
たとえば、新卒のときに待遇が良かったからと入った会社は実はそれほど事業内容に興味がない会社で、他にも同時並行で挑戦してみたいことがあるという場合や家族・恋人・友人との時間を大切にしたいという価値観の人の場合、日々仕事をするなかで勤務が長時間になったり乗り越えなければいけないことがある場合にその状況のまま耐え続けるのはとても辛いことです。
毎日長時間労働が当たり前となり大切な人に合う時間はほとんどない。またせっかく会えたときには疲れ切ってしまっていて楽しい時間を過ごせない。仕事が大切なのでこのような状況であっても問題ないという人はいいのですが、そうでない場合は人生の優先度にあっていない状態が続くということを意味します。
このような場合に、転職によって自分にとって優先度が高いものやことを守るため、生活を乱す原因である仕事から遠ざかろうとするでしょう。
積極的に遠ざかることは時には必要
ここまでで、逃げるということの意味をはじめに確認したあと、「転職は逃げ」とは具体的にどういうことかをいくつかのケースにわけて考えてきました。
周囲の人はきっと転職にネガティブ
もしあなたが転職を検討しているときに職場の上司や同僚または家族や友人などに転職について相談した際に「転職は逃げ」だと言われている場合、そこにはネガティブなニュアンスが含まれていることが多いでしょう。
人間というものは習慣の生き物であり、あなたの周囲の人は「今までのあなた」に慣れているので慣性の法則が働き今のまま変わらずにいてほしいという気持ちがどうしてもつきまとってしまうとも言えそうです。
遠ざかる目的と対象を見極めて
さきほど、逃げるとはなにかしら嫌なもの、脅威などから遠ざかることだということを解説しました。人生の中で重大な舵切りである転職は、私達一人ひとりの人生の舵切りをするためには、自分自身でしっかりと実施の是非を検討し、最終的に自分で責任をもって決行する必要があります。
「転職=逃げ=遠ざかること」ということはもはや前提として置いておき、遠ざかりたい対象は何なのかをまず見極め、つぎに遠ざかるための手段を考えます。その手段が転職しかないという結論ならば転職を積極的に検討すべきだと考えます。
まとめ
この記事では、転職は逃げでもかまわないということについて、その理由を解説してきました。逃げという言葉のもつネガティブなニュアンスに惑わされず、その意味を冷静に受け止め分析したうえで、自分自身の人生の舵取りをするための必要な行動は積極的にとっていきましょう。