ブラック企業っぽい会社に勤めてて、ブラック企業の基準が知りたい。自分の会社はブラック企業なんじゃないかな。人間らしい働き方がしたい、とお考えの方へ。
この記事では世の中にいくつかあるブラック企業の基準や考え方について整理し、まとめて解説します。
ブラック企業という言葉について
ブラック企業の基準や考え方を紹介する前に、初めにブラック企業という言葉のなりたり経緯を確認しておきます。
ブラック企業という言葉は、2013年の流行語対象に選ばれたことで一気に世間に広まった言葉ですが、それよりも以前から存在はしていた言葉です。
ウィキペディアで、ブラック企業の意味は以下のように説明されています。
元々は暴力団などの反社会的勢力との繋がりを持ち、違法行為を繰り返す会社を指していたが、近年では労働基準法や関連法令を無視し、あるいは法の網や不備を悪用して従業員に長時間労働やサービス残業などを強制する企業を主に指す。
日本語の「ブラック企業」の由来には求人広告業界の隠語や、パソコン通信時代のネットワークコミュニティからなど諸説ある。既に1990年代後半には、離職率の高い企業を並べた「ブラック企業ランキング」がインターネット上で作られていた。2008年には書籍『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』が出版され、翌2009年に映画化された。2013年には「ブラック企業」が新語・流行語大賞を受賞し、NPO法人POSSE代表でブラック企業に関する複数の著書を発表している今野晴貴が授賞式に出席した。
将来設計が立たない賃金(貧困、ワーキングプア)で私生活が崩壊するサービス残業(長時間労働)を強制し、なおかつ労働者(特に若者)を「使い捨て」るところが「ブラック」と呼ばれる所以である。
出所:ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E4%BC%81%E6%A5%AD#%E8%AA%9E%E7%BE%A9
この中でいくつかポイントがありますので、ウィキペディアの説明をまとめると以下のようになります。
- 「ブラック企業」という言葉の成り立ちと経緯
- 諸説あるが、1990年代後半には、離職率の高い企業を並べた「ブラック企業ランキング」がインターネット上に存在
- 2013年には「ブラック企業」が新語・流行語大賞を受賞(今野晴貴)
- ブラック企業の特徴
- 労働基準法や関連法令を無視
- 従業員に長時間労働やサービス残業などを強制
- 将来設計が立たない賃金
- サービス残業や長時間労働を強制
- 労働者を使い捨てる
ブラック企業の基準や特徴
ここではブラック企業の基準や特徴について世の中にあるいくつかの基準や考え方を紹介します。
今野晴貴氏のブラック企業基準
まずは先ほど紹介した今野晴貴氏が考えるブラック企業基準を紹介します。
NPO「POSSE(ポッセ)」代表の今野氏は、第13回大佛次郎論壇賞を受賞した著書『ブラック企業――日本を食いつぶす妖怪』の中で、ブラック企業について次のように定義しています。
今野晴貴氏によるブラック企業の定義
「新興産業において、若者を大量に採用し、過重労働・違法労働によって使い潰し、次々と離職に追い込む成長大企業」
現在ではブラック企業という言葉は業界を問わずに使われていますが、2013年の時点ではブラック企業という言葉はまず当時新たに出て来ていた企業群(=新興産業)のなかで、若者を食いつぶしながら事業を成長させる企業に対して特に言われていたようです。
この記事を書いている2020年時点では、過重労働・違法労働によって社員を使い潰すという点について、その対象範囲の労働内容と企業を広げてブラック企業という言葉が使われていると考えられます。
厚労省のブラック企業の一般的特徴
次に厚生労働省がブラック企業についてどのように考えているのかを確認します。厚生労働省はその出先機関として、企業の労働管理状態を監督している労働基準監督署があります。労働基準監督署については以下の神奈川労働局のサイトに位置付けや役割、どんなことを相談できるのかなどの情報がまとめられていますので参考にしてください。
参考:神奈川労働局
厚生労働省はWEBサイト上のQ&Aでブラック企業についての考えを掲載しています。
Q「ブラック企業」ってどんな会社なの?
A
厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
このような企業に就職してしまった場合の対応としては、第一義的には会社に対して問題点の改善を求めていくことが考えられます。しかしながら、新入社員が単独で会社に問題点の改善を求めて交渉等をするのは現実的には非常に難しいと考えられます。したがって、問題点に応じて、外部の関係機関や労働組合に相談することも有効な手段と考えられます。厚生労働省では、「ブラック企業」という言葉は使わず、その問題点を端的に表す表現として「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」と称して対策を展開しています。具体的には、「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」の特徴である過重な長時間労働の改善や、パワーハラスメントの予防・解決に向けた取組等を実施しています。
出所:厚生労働省Q&A
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/zenpan/q4.html
上の説明からわかるように、厚生労働省は「ブラック企業」という言葉でなく「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」という言葉を使っており、その特徴として過重な長時間労働やパワーハラスメントをあげています。
「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」の特徴
- 過重な長時間労働
- パワーハラスメント
また、ブラック企業について、以下のような一般的特徴を持つとの理解をしています。
厚生労働省が理解しているブラック企業の一般的特徴
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
ブラック企業の基準まとめ(日本)
ここまでで、ブラック企業という言葉についてその言葉の成り立ちを確認した後、ウィキペディア、今野晴貴氏による基準、厚生労働省による基準の3つを確認してきました。
ここで3つの基準を一つにまとめると以下のようになります。
■ブラック企業の基準(まとめ)
- 過重/違法な労働で労働者を離職に追込む(使い捨てる)企業で、以下特徴あり
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- コンプライアンス(法令遵守)意識低い
- 賃金不払(サービス)残業
- パワーハラスメント
- 労働者に対し過度の選別を行う
まとめ
この記事では、日本においてブラック企業の基準がどのようなものなのか、いつくかの基準をもとにまとめて解説しました。いかがだったでしょうか。これらの特徴の全部ではなくてもうちの会社も当てはまる点があるのでは??と思われた方も多いのではないでしょうか。
ご存知の方も多いと思いますが日本では長時間労働が常態化しておりそのことが問題になっています。この問題は最近始まったものではありませんが、なかなか実効的な改善策が行われていないのが現状です。このことが少子高齢化にも深く関係しています。
ブラック企業は黒か白か(ブラック企業かそうでないか)ということではなくその要素を少しでも減らしていくことが大切です。
こちらの記事を読まれたみなさんがブラック企業が少しでも減るようにそれぞれの立場で活動されることを祈ります。