保険会社から転職して新しい世界に挑戦したい。保険会社の仕事はそろそろつまらない。保険会社での経験や身につけたスキルを生かしたいという方へ。
この記事では保険会社からコンサルティングファームに転職した経験のある私が、保険会社での経験を生かした保険会社からの転職について考え方や転職活動の上で気を付ける点などを紹介します。
転職先は業務経験とキャリアの志向性から探る
保険会社での経験を生かして保険会社から転職を検討する場合には、主に二つの軸で整理して転職活動をすすめることをおすすめします。
軸の一つ目は保険会社での業務経験で、二つ目は次にどういうことをやりたいかというキャリアの志向性です。
転職活動をする場合に大切なのは、結局のところこれまで自分が何をやってきてこれからは何に取り組んでいきたいのかということです。この点は初めての就職活動の時と特に変わることはありません。
初めての就職活動の時と違うのは、「これまでにやってきたこと」として直近の経験である保険会社でのあなた自身の取組や担当業務やその中でどのような苦労や工夫をしたかという点が問われるようになり、保険会社での取り組みや実際の経験や身につけたスキル・専門性を踏まえて次に何にどう取り組みたいのか、ということが問われるという点です。
このような点は一見当然と思われるかもしれませんが、とても大切な点なので絶対にチェックすべきポイントです。
次の項目から一つずつ具体的に解説します。
業務経験をしっかり把握し別の仕事でもイメージしやすいよう説明する
保険会社での経験は所属する部署や会社内での位置づけによって様々なものがあります。
保険会社での経験を、他の人が聞いたときに理解できるように転職活動(選考書類や面接)の中でアピールすることが大切です。なぜなら候補者が話す内容を聞いて応募中の新たなポジションでの活躍の可能性をできるだけ正確に把握するのが選考活動の面接官の仕事であり目的だからです。
経験した仕事の種類や位置付けを把握
転職する際に語るべき内容の一つとして所属していた組織の役割やその中で与えられ遂行した自身の役割というのがあります。そこで、仕事の切り口をいくつか考えてみます。
フロントかミドルかバックか
経験内容の一つ目の切り口は所属部署の顧客からの距離による区分で、フロントかミドルかバックかと言うものです。
フロントオフィスは顧客と直接接点のある営業部門でありバックオフィスはデータ処理や監査などを担ういわゆる事務部門、そしてその中間の位置付けとなるのがミドルオフィスです。営業統括や営業支援部門などがミドルオフィスに当たるでしょう。
企画か実行(運用)か
経験内容の2つ目の切り口は企画か実行かです。組織の役割としての仕事を大きく分けると企画か実行かに分けることができます。ここで言う企画とか実行と言う言葉は、意味としてはルールや仕組みを作る仕事か、存在するルールや仕組みを運用する仕事(つまり定められたルールや業務プロセスに従い業務を行う仕事)かという分け方です。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが当局が業務の確からしさを確認する際のポイントも大きく分けるとこれと同じ観点での分け方となっています。
会社は3ヵ年などで中期経営計画を策定しその計画上で定める目標の達成に向けて活動し最後に実際に行った活動を振り返り評価をしてまたその結果を受けて次の計画を立てます。このサイクルはいろんな粒度が存在し通常は3年の会社としての中期経営計画、それを受けて設定する年度計画、そしてその会社全体の方針を受けて定める各部門の部門計画、さらにそれを分割して課の計画、チームの計画などとどんどん細かくなって行きます。このサイクルの中で各種の計画を担う経営企画部やxx統括部、xx企画部のような仕事は企画の典型的な仕事です。
なお、企画系の仕事がいいとか実行系の仕事が偉くないとかいったことではなく、あくまで仕事の種類が異なるのでありその両方があって初めて会社組織が成立すると言えます。組織が変わっても企画と実行のどちらの役割も必要という点は一緒であり活躍の機会があるため、そのどちらを経験したとしても自分のやったことをしっかりと伝えることが大切です。
保険バリューチェーンのどこか
他の事業と同じように保険会社の事業にもバリューチェーンが存在します。そして保険ビジネスのバリューチェーンの中でどの部分の仕事をしていたかによって得られた経験や身につけた専門知識等が変わってくるはずです。
保険事業のバリューチェーンは通常、以下のようなものです。
- 商品開発(数理計算含む)
- マーケティング
- 契約募集
- 契約引受・査定
- 契約保全
- 保険金支払
上記に加えて情報システムの開発保守運用という仕事があり、システムは上記のバリューチェーンに密接に関係して存在しています。
上に示したような保険ビジネスのバリューチェーン内で果たした機能や身につけたスキル・知識が転職先での糧になります。ヘッドハンターや転職エージェントの力も借りながら、経験が他業種・企業でどう生かせる可能性があるのか可能性を最大限探りましょう。
実績を把握し指標と発揮スキルで語る
保険会社からの転職で語るべきこととして、保険会社で成し遂げた仕事の実績も外せない要素です。
自分のやっていた仕事が会社全体でどのような役割を果たしどのような性質を持つものなのかが把握できたら、それぞれの仕事にあった定量的または定性的な内容での実績を把握し語りましょう。
その際、自分がどのようなスキルを発揮してその仕事を成し遂げたのかも併せて語りましょう。
それでは一つずつ見て行きます。
実績の把握には工夫が必要
保険会社からの転職で語るべき、自分が成し遂げたことを把握するには工夫が必要です。業務の内容や所属する部署によっては明確に定量的または定性的な指標がわかりやすい場合もあるかもしれませんが、それがわかりにくい場合も往々にしてあるからです。
実際にすべき工夫としては、自分自身で会社のディスクロージャーや部の実績関連の発表文書にアンテナを高く張り、自分の所属する部門がその発表された内容に対して何にどれほど貢献したのかを確認し、場合によっては仮説ベースでもいいので産出するといった習慣をつけるという方法があります。
自分がいつも取り組んでいる仕事がある組織や社会にとってどのような意味やインパクトがあるのかを理解し意識することは、長い人生でキャリアを形成していくという意味でもとても大切な観点です。
自分の所属する組織や社会へのインパクトを知ることでいい意味での組織への愛着が生まれ、社会や自分が所属する様々なコミュニティへの愛着も生まれることで心も良い状態を保つことができます。
実績は仕事ごとの指標で語る
先ほど紹介した保険会社の様々な仕事で、それぞれの評価指標があるはずです。
営業部門であれば営業の結果獲得した顧客数や契約件数・売り上げ金額といったものでしょうし、事務企画部門の場合は設計した事務内容の会社への貢献度を図るようなユーザー数やがトランザクション数、などがそれに当たるでしょう。事務の実行部門では事務ミスの発生件数や全処理件数が考えられると思います。
自分が所属した部門の目標は何で、業績がどのような指標(KPI)で図られているか、そして自分はその中のどの部分にどれほど貢献したのか、といったような観点で自分の業務経験を整理・把握し応募しようとする業種に置き換えても考えやすいよう、工夫しましょう。
実績を出すため使ったスキルを明確化
保険会社から転職するため、保険会社の仕事で成果を出したときに使ったスキルを把握しておくことも大切です。そのスキルが他の業種や企業でも生かせるものであればあるほどいいです。
仕事で何かの実績を出したとき、きっと何か使ったスキルがあるはずです。普段何気なく仕事をしているときはあまり意識していないことでも、よく考えると他の仕事でも使えるスキルと呼べる何かを使っていることはよくあります。ここでスキルと呼んでいるものには、いわゆる自分の強みも含まれます。
自分に向いてる仕事を見つけるための方法について書いた記事を載せておきますので参考にしてください。
自分に向いてる仕事を見つけるための実践的な方法を紹介しています。向いてる仕事とは何か、具体的なステップはやツールはなども紹介しています。
キャリアの志向性は人生設計と整合させ貢献しやすさにも考慮する
次に、保険会社から転職するときに欠かせない軸の二つ目としてキャリアの指向性について解説します。
キャリアの志向性とは
「志向性」は自分が何を目指すか、つまりやりたいことの方向性です。よって、仕事の志向性とは、仕事で自分がやりたいことや仕事の上でなりたい自分の方向性ということになります。保険会社から転職したら仕事上でどんな活動をしたいのか。どんなスキルを身につけ社会にあまた存在する課題解決の何に貢献したいのか。このように、保険会社から転職した後の仕事についてビジョンを明確化しましょう。そして描いたビジョンに対して計画をたて、その実現のために必要な行動として次の仕事を捉えることが大切です。
人生設計(ライフプラン)との整合
保険会社の方であれば、人生設計(ライフプラン)という考え方は馴染みの深いものだという方も多いのではないでしょうか。
ウィキペディアではライフプランは以下のように説明されています。
ライフプランとは、人生設計のこと。語感としては、 人生設計が、職業、結婚観、生きがい、居住地など個人の充足感に主眼をおいた設計であるのに対し、 ライフプランは、主に金銭面からの生活設計を指すことが多い。
ライフプランは人生設計図と訳されることもある
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3
言うまでもなくキャリア(仕事)は人生の一部であり、人生の中でも長い時間とエネルギーをかけることになる主要な活動の一つです。
「人生100年時代」と言われるようになり今後キャリアの形成のされ方が変わってきても、キャリア(仕事)が人生の主要な活動の一つであると言う点は変わらないでしょう。それだけに、自分が実現したい人生の形と全く合わない仕事を選んでしまうと、人生全体に悪い影響を及ぼしかねません。
人生100年時代って何?という方は以下の記事も参考にしてみてください。
この記事では、最近よく聞くようになった「人生100年時代」とは何か、また嘘だという説があるけど本当か、さらに、どのような人生100年時代にはどのような変化があって、その変化に対して私たちがどのように対応していけばいいのかを解説しています。リンダグラットン氏による「LIFE SHIFT」の内容から、実際に私たちの人生への影響を考えようと試みています。
上で説明したようにキャリア(仕事)は人生において重要なため、保険会社から転職を検討し次の選択肢をせっかく考えるなら、自分の人生全体をどうしたいのか、その中で仕事はどのような位置付けなのかといった点を十分に整理し、人生全体の方向性と仕事で矛盾が起こらないようにすることが大切です。この辺りのことを踏まえ転職の考え方を以下の記事にまとめていますのでそちらも参考にしてください。
転職の考え方ややり方について解説しています。何回目の転職であっても、また就職活動時にも役立つ、絶対に抑えた方がいい転職時の考え方です
貢献のしやすさも考慮する
保険会社からの転職においてキャリアの志向性を考える上でもう一つ大切な観点があります。それは挑戦しようとする新仕事での「貢献のしやすさ」です。「志向性」を考える際には「自分がやりたいこと」「なりたい自分」を考えるのが原則です。
ですがそれと同時に、自分が貢献しやすいかどうかという軸も追加して新たな仕事について考えます。キャリアを組み立てていく上では、特にそれが初めての転職である場合は、自分自身のやりたいことを実現していくためにも大切です。そのことが結果として結果を出しやすいことにつながり安いためです。
このように自分がやりたいことの実現のためにこそ貢献のしやすさを考えるという関係性が成立するからこそ、自分が新たな仕事でどれほど貢献できそうなのかをちゃんと考えることは大切であるため、「貢献のしやすやも踏まえた上でのキャリアの志向性」を意識するようにしましょう。
まとめ
この記事では保険会社から転職する場合に必要な考え方やポイントについて解説しました。
保険会社での経験を生かして自分自身のライフプランと矛盾のない仕事で社会に貢献しましょう。