転職面接より転職後の人間関係より、本当に怖いのは・・・

転職を検討しているけど転職するのが怖いという方へ。この記事ではキャリアを考えていく上で本当に怖いことが何かについて解説します。

初めに結論を言ってしまうと、転職が怖い気持ちはわかるものの本当に怖いのは状況を把握せず漫然と現状にとどまる、つまり転職しないことで世界の変化に自分自身が追いつけなくなってしまうことです。時代や社会の変化とはなんなのか。それについていけなくなるとはどういうことか、詳しく解説していきます。


社会は常に変化する

私たちの世界は常に変化しています。日々忙しく生活を送っていると現在進行中の大きな変化が何か見落としてしまいがちですが、大きな変化は密かにでも確実に進行していきます。

変化を捉える為のPESTフレームワーク

大きな変化について考える時参考になる考え方として、経営コンサルタントが企業活動の外部環境変化を分析するために使うものとしてPESTフレームワークを紹介します。 PESTはPolitics(政治),Economics(経済),Society(社会),Technology(テクノロジー)の頭文字をとったものです。

ちょっとややこしいのですが、大きな意味での社会の変化はこの4つの要素を考えるといいですよというものを列挙しているもので、企業が何か意思決定をする時の元ネタとして今世の中はどうなっているのかを理解する時の情報の切り分け方とも言えます。

この4つのものは常に変化していて当然ながら相互に影響を及ぼし合っています。例を挙げると例えば政権が民主的な政権から軍事政権に変われば経済のあり方や社会のあり方も大きく変わることになりますし、最近よく話題に上がるのはAIやRPAというテクノロジーによる雇用・労働(=社会の一部)のあり方が大きく変わるということです。

過去に起きた社会の変化と労働

ここでは過去に実際に発生した社会の変化について考えてみます。

狩猟社会から農耕社会へ

かなり昔のことになりますが、かつて人類は狩猟を中心として暮らしていました。そのような狩猟中心の時代からやがて農耕中心の社会へと移行した時のことを見てみましょう。

まず初めに農耕社会の定義を確認します。

農耕社会 (agrarian society) は、その経済が農耕によって成り立っている社会である。

別の定義としては国内総生産に農業が占める割合をみることで判断できる。農耕社会では、土地の耕作が富の第一の源である。生活や仕事における他の手段も存在するが、農業の重要性は際立っている。

出所:ウィキペディア

次に、農耕社会への移行と、農耕社会になることで何が変わったのかを確認します。

人類の祖先(ヒト亜科)は他の霊長類と分岐して以降の数百万年もの長い間、採集、狩猟、漁労などによって生計を立ててきたとされる(狩猟採集社会)が、それらとともに新たに農耕や牧畜が始められた理由として食料難が一つの説としてあげられている。農耕が始まった時期は氷河期(最終氷期)の終結に伴う気候の変動が続いた時期(急激な温暖化と、それによって溶解した氷河からの冷水が海水温を下げたことによる一時的な寒冷化への揺り戻しが発生した)と重なっており、これによって従来通りの狩猟採集で食料の確保をすることが困難になったこともきっかけとされる。農耕は大量の水が要り、ついでその管理も必要となってくるため、河川周辺など、定期的に水の供給が得られる場所が農地として選定されることが多い。
農耕や土器の発明により、人類は計画的に食物を生産、そして貯蔵することが可能となった。食料の安定供給は多くの人口を養う事を可能にし、それまで家族・親族単位であった人類の社会形態は大きく拡大し、多くの人々が定住して社会生活を営む様になる。世界四大文明などの古代都市文明も農耕を基礎におき、大河川流域で大いに発展した。そして政治と経済、ついには国家の誕生へと至る事となる。
さらに作物の管理や分配のための計算、気候の変化と農作業の日程を知るための暦法(天文学)、農地管理のための測量などが必要となり、これらが数学の基礎となった

出所:ウィキペディア

上記の中で、いくつか重要なポイントを整理します。農耕が始まった原因は、氷河期の影響で狩猟などでは食糧確保が難しくなったこと思われ、食料を確保する為に農耕が始まりました。農耕を行うために水の管理技術(灌漑)や作物の管理技術、農地管理のための測量技術、暦法などが発達してのちの数学の基礎となりました。

自然環境の変化によって社会環境が変化しそれによって新たな仕事が生まれ必要となるスキルが変化したことが伺えます。

機械による生産性革命

テクノロジーによる社会の変化はAI・RPA以前にも19世紀初頭に起きた産業用機械による生産性革命とそれによって発生したラッダイト運動(機械打ち壊し運動)が有名です。機械を導入することでそれまでより飛躍的に早く簡単にものを作ることができるようになったのですが、それによって雇用を奪われることを恐れた労働者によって機会を壊すことで労働を守ろうとする運動が発生したのでした。


人間が取り組む仕事も変化する

先ほど紹介したように私たちを取り巻く世界は自然やテクノロジー、政治などによって常に変化しています。それは今も昔も変わりません。

そして、例えば農耕社会に突入した時にそれ以前には必要なかった土地や水の数を扱い管理する技術が必要とされるようになったように、社会の変化に合わせて生きていくために必要とされるスキルや人間が担う仕事そのものも変化していきます。このことも、今も昔もそしてこれからも変わらないことだと言えます。

これまでに人間が経験した仕事の変化

かつて狩猟・採集の時代には山や海で植物や動物を取りに行っていたのが、植物を育て管理する仕事に大きく変わりました。19世紀には職人が一つ一つものを丁寧に作っていたのが、よりたくさん早く作るための機械を使いこなしてより多くのものを効率よく作ることが必要になりました。その作業効率の管理や改善、機械の制作・修理・管理・使用といった仕事に変わりました。

今とこれからの仕事の変化

この記事を書いている2020年3月時点でもやはりこれまでと同じように社会は日々変化し続けています。日本の中でも他の世界のどこかでも日々何かが発生し続けています。そして労働・仕事の分野でもやはり変化は進行中です。

一般的に仕事の変化が論じられるのは日本の中では働き方改革そしてAI・RPAといった言葉がよく出てくるように思います。最近で言えば働き方改革と関連して、同一労働・同一賃金も取り組みが進められています。

変化が訪れるタイミング

働き方改革・AIやRPAといった言葉に象徴される仕事の変化は遅々として進まないように見えることもあるかもしれませんが、何かの拍子に急激に進む性質があるように思います。この記事を書く少し前から世界規模で急激に感染が拡大しパンデミックとなっているコロナウィルスの広がりによって、これまでテレワーク・リモートワークに本腰を入れて取り組んでこなかった日本企業も急激にテレワークを取り入れ出しました。(それでも依然として、取り組みの早さの違いは残ります。何事にも取り組みの速さの違いはあるものですが、今回の件でもやはり企業や個人によって取り組みの速さは異なるようです。)

コロナウィルス危機が問いかけるもの

リモートワーク導入を真剣に検討してこなかった企業が、今回の件を受けて検討せざるを得ない状況になっていることでしょう。ここで重要なのはコロナウィルスのパンデミックの危機によって単にリモートワークが推奨されるようになったということのみならず、仕事一つ一つの存在意義ややり方の根本的な部分が問われているということです。

例えば、毎日なんとなく電車で片道DoorToDoorで1.5時間通勤をしオフィスの自分の席に座っている、妻と子供2人がいる人(Aさん)がいたとします。成果がなんであるかとか仕事の目的・意義が何かといったことはあまり考えずに日々を過ごしていたとします。そして例えば自分の席の周りの同僚が夜遅くまでオフィスに残っているからといった理由でなんとなく夜遅くまで残業をし、家族と過ごす時間はとても少なく帰宅後は寝るだけという生活を繰り返していたとします。(やや極端な例かもしれませんが)

このケースの場合、コロナウィルス危機によっていろいろなことが見直されることになるでしょう。例えば以下のようなことが問われるようになるでしょう。

  • そもそもAさんの仕事の目的は何か
  • その目的を達成するための仕事の中間目標は何か
  • 各目標を達成するための具体的なプロセスやプロシージャーは何か
  • これらのプロセスやプロシージャーは改善の余地はないのか
  • 改善した結果、そもそもAさんの仕事は必要か
  • 必要なプロシージャーや作業実施のための通勤する必要はあるのか
  • Aさんの人生において時間の使い方のバランスはどうか
  • Aさんの家族との関係は問題ないか

コロナウィルス危機によって世界経済が停滞し、経済全体が緊張状態にあります。その影響で今後企業規模を問わず雇用にも多くの爪痕を残すことでしょう。上でケースを用いてあげた問以外にもあるかもしれませんが、少なくともコロナウィルス危機の発生によって上で挙げたような問は投げかけられることでしょう。

テレワークのメリットとデメリットについては以下の記事にまとめているので参考にしてみてください。

AI・RPAの登場で、機械ができる仕事の範囲は広がっていく

先ほど、コロナウィルス危機に触れながら2020年3月時点でまさに進行中の仕事の変化の一例を解説しました。ここでは2020年時点そして今後数十年間の仕事変化を語る上では絶対に外すことができないAI・RPA等の活用による仕事の変化について概要のみ簡単に解説します。

AI・RPAという言葉は最近特によく言われるようになり多くの企業がその活用を検討したことがある、もしくは実際にすでに活用している状態だと思います。AIとRPAはそれぞれ別々のテクノロジーで、このテクノロジーを組み合わせて適材適所で使うことで人間がやっているパソコンを使った業務を大幅に効率化でき生産性向上とともに品質向上が可能になります。

AIとRPAついて

AIはArtificial Intelligenceの略語で人工知能を意味します。この言葉自体は実はそれほど新しくないもので、言葉が誕生したのは1956年のことでした。人工知能研究には様々な分野があり、この中で人間の脳の働きの一部を模倣する「弱い人工知能」の一分野である機械学習が特に研究が盛んに研究され発展してきた結果、自動運転等の実際の産業に活用可能なレベルとなり一気に活用が進んできた経緯があるものです。

ここでAIとは何なのかについて改めて確認しておきます。

人工知能(AI)とは知能のある機械のことです.しかし,実際のAIの研究ではこのような機械を作る研究は行われていません.AIは,本当に知能のある機械である強いAIと,知能があるようにも見える機械,つまり,人間の知的な活動の一部と同じようなことをする弱いAIとがあります.AI研究のほとんどはこの弱いAIで,図のような研究分野があります

出所:社団法人人工知能学会
人工知能のなかで取組が盛んな領域

コンサルティングファームのマッキンゼーによるレポートによると、AIの中でも特に多くの投資家の資金を集めているのが機械学習分野です。多くの資金を集めている理由は先ほど説明したように様々な産業での実活用がある程度見えてきており一部すでに実用化もされ、今後も各分野での活用に大きな期待が持たれているからです。

下の図を見るとわかる通り、機械学習の次に投資を集めているのが、人間の視覚を模したコンピュータビジョンの領域です。RPA(Robotic Process Automation)はこのコンピュータビジョンを応用したものだと言えます。

External investment in AI-focused companies by technology category, 2016

参考:Mckinsey Global Institute
ARTIFICIAL INTELLIGENCE THE NEXT DIGITAL FRONTIER?

RPAはパソコン作業での人間の目と手

RPAはホワイトカラーが担当している仕事を大幅に効率化するものであると先ほど説明しました。もう少し補足します。人間がパソコンで仕事をするときのことを考えると、操作するアプリケーションを選んで起動し、そのアプリケーションの中に表示されるボタンや入力欄を見て選び、選んだ対象に対して何か操作をします。そして次にすることは同じことをデータがあるだけ繰り返すか、画面に表示された内容を見てその内容を判断し内容に応じた処理を行うかです。

この一連のパソコンを使った操作は、パソコン上で動かすアプリケーションを見つけて起動したり、起動したアプリケーション内のボタンを操作したり、入力欄を見つけてそこに文字を入力してから送信ボタンを押すなど、人間の目を使って対象を特定することが重要になります。この時に操作したい対象を見つけるのがより早くよりミスなくできれば、その業務を担当していたベテラン社員にも負けない生産性を発揮できるはずです。

機械学習や自然言語処理等が判断・解釈らしきことをする

ただしRPA自体は人間の脳のうちであくまでも視覚+手の機能を模したもので、判断はしてくれません。そこで登場するのが先ほど紹介した機械学習の応用技術というわけです。(ここでは詳細に説明しませんがAIのその他の領域として機械学習以外にも自然言語処理や音声認識などの技術もありこれらも判断や解釈の機能です。)AIについての説明の冒頭で解説したように機械学習もあくまで「弱いAI」の研究の一分野であるため本当に人間が判断するようにいわば全脳的な判断をしてくれるわけではありません。機械学習では大量のデータをインプットしてその結果を学習させることで、入力値に対して人間が出して欲しいと思う結果を出してくれるようになるので、あたかも判断をしているように見えるということです。「判断らしきことをする」と言ったのはそういう意味です。

AIとRPAの組み合わせでできること

これまでに説明してきたようにAIは「弱いAI」のいくつかの主要分野のソリューションを指し、RPAはその一部であるコンピュータビジョンの技術を応用したソリューションです。なのでパソコンを用いた業務では仮にAIはかなり不完全な判断機能を持ちRPAは不完全な目と手の機能を持つと言えます。

AIもRPAも「不完全な」というところが大きなポイントです。現段階ではそれぞれの完成度はまだ十分に高いとは言えないため実際に使いこなすには大変な点もあることが予想されますが、パソコンを使って何かを見て見つけたボタンを押したりテキストを入力したりスクリーンショットを撮ったり、また帰ってきた結果を見て判断をして次の処理に進む、という一連のことが機械によってある程度できるようになります。お分かりのとおりこれはかなりインパクトが大きいことであることは間違いなさそうです。

本当に怖いのは、惰性だけで考えなく転職しないこと

長くなってきましたが、ここまでの内容を簡単におさらいしたうえで、本当に怖いのは惰性だけで考えなく転職しないことであることを解説します。

ここまでの解説のおさらい

昔から今までそしてこれからも社会は常に変化していて、社会の変化に応じて人間の仕事も変わってきます。過去を振り返ってもそうなっていますし現在とこれからという意味ではAIやRPAによって人間の仕事がまた変わっていきつつある状況です。まだ完成度が高くないAIやRPAも完成度が上がってくるとより大胆に仕事を変えていくことが予想されます。

転職しない場合に変化は怖くないか

よく考えた上で戦略があって転職しないならいいのですが、そうでなくただ惰性が主な要因で転職しないことこそ、本当に怖いことです。最近でこそ従業員のエンゲージメントを意識していると言っている企業は大企業では見かけるかもしれません。そういう企業の場合、「社員の成長を考えている」ということも言われるでしょう。もしそれが実際に企業としての行動にも十分に反映されていて、しかも自分自身のキャリア戦略・人生戦略とも一致していることが間違いないなら転職しなくてもいいかもしれません。しかしそうでない場合はよく考える必要があります。

社員の成長もいろいろ

物は言いよう、ということがあります。極端な例を言えば、誰がどう見ても斜陽産業でありしかも市場シェアもほとんどなく将来性も低い企業において、何十年も前の成功体験を持った社長や社員が考える「社員の成長」とはどんなものかを想像してみてください。

人生は長いので将来性のあるスキルや専門性を獲得すべき

この記事を読んでくださる方はいろんな年齢の方がいらっしゃると思いますが、仮に2020年時点で20歳台や30歳台の方の場合、人生はまだまだ先が長い可能性があります。人生100年時代という言葉が最近言われているのをご存知の方も多いと思います。人生100年時代については以下の記事にまとめていますので参考にしてみてください。

また人生100年時代の仕事については以下の記事にまとめていますのでこちらも参考にしてください。

スキルや専門性の獲得を運任せにしない

新卒で入社した会社でずっと定年まで働き続けることが良かった時代もあったのかもしれません。しかしながら、時代がどっちに進むか成長するのかも方向性が見えづらい時代においては、その会社の創業者一族でありどうしてもその会社を守りたいなどの特殊な事情がない限りは必要ならば転職してでも将来性のあるスキルを獲得可能な環境を自ら掴み取りにいくべきです。

転職せずに将来性のあるスキルを獲得できるか

先ほど必要ならば転職、と書きました。人生100年時代と言われる長寿社会には、いろんな理由によりこれまでより長く働くようになるので生きている長い間の社会変化にも対応して柔軟に次々とスキルをつけていくことが必要です。このような状況において、例えば22歳頃の考えで新卒入社を決めた会社の中だけで必要なスキルを獲得できるとは考えにくいのではないでしょうか。

転職せずに社会の変化を広く把握できるか

私が転職をしないことが大きなリスクになりうると考えるもう一つの理由は、転職しないで一つの会社や組織に篭っていると外の世界が見えなくなり特定の産業や業界または会社に固定された視点でしか世界を見られなくなってしまうことが怖いからです。私自身、現時点では正社員としてだけで言えばそれほど沢山の組織に所属してきたわけではないですが、自分の仕事を社会全体の中で客観的にみることやそれを他人に説明することなどは転職活動の中で身につくのはかなりいいことだと感じています。

まとめ

この記事では、転職を検討してみたいけど転職が怖いという方に向けて、本当に怖いのは世界の変化を意識せずにただ漫然と現在の会社にい続けることだということを解説しました。この記事を読んでいただくことで、転職の面談や転職後の環境などよりもずっと怖いものがあることを知っていただく結果、前向きに転職されようとしている方の背中を押すことができることを祈っています。